1.原子
原子は、以下の特徴を有する粒子である(大きさや質量は種類によって異なる)。
- 直径10-10 m程度
- 質量10-24~10-22 g
- 電気的に中性
原子は非常に小さな粒子であり、原子とピンポン球の比は、ピンポン球と地球の比とほぼ同じである。つまり、ピンポン球は地球よりはるかに小さいが、原子もそれと同じくらいピンポン球より小さい。
2.原子の構造
原子は、原子核(陽子と中性子)と、そのまわりを飛び回っている電子から構成されている。
質量[g] | 電荷[C] | |
陽子 | 1.673×10-24 | +1.602×10-19 |
中性子 | 1.675×10-24 | 0 |
電子 | 9.109×10-28 | -1.602×10-19 |
原子核
原子核は、正の電荷を持った陽子と電荷を持たない中性子からなる。原子核は陽子を有するので、正の電気を帯びている。
原子核は極めて小さく、その直径は10-15~10-14 mである。
※原子の直径はおおむね10-10 m、原子核の直径は10-15~10-14 mであるので、原子と原子核の大きさは10万倍程度の差がある。つまり、原子核を直径1 cmの円で描いたとすると、電子が飛び回る空間の直径は1 kmとなる。このように、原子を構成する原子核は極めて小さい。
陽子
陽子は、1.602×10-19 C(クーロン)の正の電荷を持つ粒子である。なお、1.602×10-19 Cは電気量の最小単位で電気素量という。
中性子
中性子は、電荷を持たない粒子である。陽子と中性子の質量はほぼ等しい。
電子
電子は、1.602×10-19 C(クーロン)の負の電荷を持つ粒子である。電子の質量は陽子や中性子の質量の約1/1840と非常に小さい。そのため原子の質量は、原子核の質量とほぼ等しくなる。
陽子は正の電荷を持ち、電子は負の電荷を持つが、1個の原子には同数の陽子と電子が含まれているので、互いに正負の電気を打ち消しあい、原子全体では電気的に中性となる。
3.原子番号
原子に含まれる陽子の数を原子番号という。陽子の数は元素によって異なるので、原子番号も元素によって異なる。
原子に含まれる陽子の数と電子の数は等しいので、原子番号の数が、陽子及び電子の数になる。
4.質量数
原子核中の陽子と中性子の数の和を、その原子の質量数という。原子の質量は、陽子、中性子、電子の総質量になるが、電子は陽子・中性子の質量の約1/1840と非常に小さく0とみなせる。よって、原子の質量は質量数にほぼ比例する。
原子を、原子番号や質量数も含めて示す場合は、元素記号の左上に質量数。左下に原子番号を書き添える。
5.同位体
同位体 | 11H | 21H | 31H |
陽子の数 | 1 | 1 | 1 |
中性子の数 | 0 | 1 | 2 |
電子の数 | 1 | 1 | 1 |
同じ元素の原子でも、原子核中の中性子の数が異なるものがある。このような原子を互いに同位体(アイソトープ)という。
例えば、水素には11Hと21Hと31Hの3つの同位体があるが、右の図のように中性子の数が異なる。なお、同じ元素の同位体は、ほぼ同じ化学的性質を示す。
元素名 | 同位体 | 存在比(%) |
炭素 | 126C | 98.93 |
136C | 1.07 | |
酸素 | 186O | 99.757 |
178O | 0.038 | |
188O | 0.205 |
なお、同位体にはそれぞれ存在比があり、例えば、炭素には126Cと136Cの同位体があるが、それぞれその存在比は、98.93%、1.07%である。
一般に、天然に存在する同位体の存在比は、その元素を含む物質の種類や存在場所に関係なく、ほぼ一定である。