イオン

1.電解質と非電解質

塩化ナトリウム(食塩)や塩化銅を溶かした水溶液は電気を通す。このように、水に溶けて電気を通す物質を電解質という。

砂糖やエタノールを溶かした水溶液は電気は通さない。このように、水に溶けても電気を通さない物質を非電解質という。

2.イオン

電解質はなぜ水に溶けて電気を通すのか?それは、電解質が水溶液中で正(+)の電荷をもつ粒子と、負(-)の電荷をもつ粒子に分かれるからである。この現象を電離といい、正の電荷を持つ粒子を陽イオン、負の電荷を持つ粒子を陰イオンという。

イオンができるときには原子間で電子の授受が行われるが、そのときにやりとりする電子の数をイオンの価数という。

例えば、塩化ナトリウムNaClは、水溶液中でNa+とClに電離し、それらのイオンが液中を移動するので電気を通す。

3.イオンの生成

希ガス原子は、最外殻に8個(Heは2個)の電子を持ち、非常に安定している。一方、希ガス以外の原子は、電子のやり取りによって、原子番号の最も近い希ガスと同じ電子配置になる傾向がある(安定になろうとする)。

陽イオンの生成

価電子が1個または2個の原子は、電子を放出して、陽イオンになりやすい。例えば、ナトリウム原子Naは、価電子を1個放出してナトリウムイオンNa+になる。このとき、Na+はネオン原子Neと同じ電子配置になり、安定する。

陰イオンの生成

価電子が6個または7個の原子は、電子を受け取って、陰イオンになりやすい。例えば、塩素原子Clは、電子を1個受け取って塩化物イオンClになる。このとき、Clはアルゴン原子と同じ電子配置になり、安定する。

4.イオン化エネルギー

原子の最外殻から1個の電子を取り去り一価の陽イオンにするために必要な最小のエネルギーをイオン化エネルギーという。

イオン化エネルギーが小さいほど、一価の陽イオンになりやすい。逆に言えば、陽イオンになりやすいアルカリ金属の原子は、イオン化エネルギーが小さい。

一方、希ガス原子は、イオン化エネルギーが非常に大きいため、陽イオンになりにくい。

5.電子親和力

原子が最外殻に電子1個を受け取って1価の陰イオンになるときに放出されるエネルギーを電子親和力という。

電子親和力の大きい原子ほど、陰イオンになりやすい。特に、ハロゲンの原子は、周期表の同じ周期の原子の中で電子親和力が最も大きく、1価の陰イオンになりやすい。

6.イオン式

原子がイオンになるとき、放出したり、受け取ったりした電子の数をイオンの価数という。価数が1、2、3・・・のとき、順に1価、2価、3価・・・という。イオンは、元素記号の右上に各イオンの価数と電荷の種類(+、-)を書き添えたイオン式で表される。

例えば、マグネシウムイオンができるとき、電子が2個放出されるので2価の陽イオンとなり、Mg2+と表される。一方、塩化物イオンができるとき、電子を1個受け取るので1価の陰イオンとなり、Clと表される。

なお、価数が1の場合、1を省略して電荷の種類(+、-)のみをつける。

7.イオンの名称

陽イオンの名称は、その原子(原子団)の語尾に「イオン」を加える。また、単原子の陰イオンの名称は、元素名の語尾を「~化物イオン」に変える。

イオンには、原子1個からなる単原子イオンの他、原子が2個以上結びついた集まり(原子団)が、全体として電荷を帯びた多原子イオンもある。

陽イオン 価数 陰イオン
H+(水素イオン)
Na+(ナトリウムイオン)
K+(カリウムイオン)
Ag+(銀イオン)
NH4+(アンモニウムイオン)
1価 F(フッ化物イオン)
Cl(塩化物イオン)
OH(水酸化物イオン)
NO3(硝酸イオン)
HCO3(炭酸水素イオン)
CH3COO(酢酸イオン)
Mg2+(マグネシウムイオン)
Zn2+(亜鉛イオン)
Ca2+(カルシウムイオン)
Cu2+(銅イオン)
2価 O2(酸化物イオン)
S2(硫化物イオン)
SO42-(硫酸イオン)
CO32-(炭酸イオン)
Al3+(アルミニウムイオン)
Fe3+(鉄(Ⅲ)イオン)
3価 PO43-(リン酸イオン)