1.イオン結合
陽イオンと陰イオンは、静電気的な引力によって互いに引き合って結びつく(結合する)。この化学結合をイオン結合という。一般に、金属元素と非金属元素が結びつくときは、イオン結合になる。
例えば、NaとClが図のように結びつくと塩化ナトリウムができる。
2.イオン結晶
原子、分子、イオンなどの粒子が規則正しく並んでできた固体を結晶といい、イオン結合でできた結晶をイオン結晶という。
イオン結晶には次のような共通の性質がある
- 陽イオンと陰イオンの静電気的な引力が強いため、融点が高い
- イオン結合の結合力が大きいので一般に硬いが、もろくて特定の方向に割れやすい※
- 固体のままでは電気を通さないが、融解したり、水に溶かしたりすると電気を通す
※これは力を加えることによって結晶中の粒子の位置がずれ、同種の電気を持つイオン同士が互いに向かい合うことになり、反発力が働くためと考えられる。
3.組成式
イオンからなる物質は、イオンの種類と割合を元素記号で示した組成式で表す。
例えば、塩化ナトリウム(ナトリウムイオンNa+と塩化物イオンCl-からなる)の組成式はNaClとなる。また、塩化カルシウム(カルシウムイオンCa2+と塩化物イオンCl-からなる)の組成式はCaCl2となる。
陽イオン\陰イオン |
Cl–塩化物イオン |
OH–水酸化物イオン |
O2-酸化物イオン |
SO42-硫酸イオン |
Na+ナトリウムイオン |
NaCl 塩化ナトリウム |
NaOH 水酸化ナトリウム |
Na2O 酸化ナトリウム |
Na2SO4 硫酸ナトリウム |
Ca2+カルシウムイオン |
CaCl2 塩化カルシウム |
Ca(OH)2 水酸化カルシウム |
CaO 酸化カルシウム |
CaSO4 硫酸カルシウム |
Al3+アルミニウムイオン |
AlCl3 塩化アルミニウム |
Al(OH)3 水酸化アルミニウム |
Al2O3 酸化アルミニウム |
Al2(SO4)3 硫酸アルミニウム |
イオン結晶の組成式では、必ず次の関係式が成り立つ。
陽イオンの価数×陽イオンの数=陰イオンの価数×陰イオンの数
なお、陽イオン(または陰イオン)の数は、下図のように相手のイオンの価数と同じになる。