分子と共有結合

1.分子

物質を構成する粒子の1つに、いくつかの原子が結びついてできた分子がある。

例えば、水素分子H2は、2個の水素原子Hが価電子を出し合って電子対をつくり、これを共有することで結合している。その結果、それぞれの水素原子は安定なヘリウム原子Heと同じ配置になる。

また、水分子H2Oは、1個の酸素原子が2個の水素原子と価電子を出し合って電子対をつくり、これを共有することで結合している。その結果、水素原子は安定なHeと同じ電子配置に、酸素原子はネオン原子Neと同じ電子配置になる。

2.分子式

分子からなる物質は、分子を構成する原子の種類とその数を示した分子式で表される。

例えば、水素分子は2個の水素原子から構成されているのでH2となる。また、水分子は1個の酸素原子と2個の水素分子から構成されているのでH2Oとなる。

なお、希ガス原子は、他の原子とは結びつかず(すでに安定なため)、原子1個が単独で分子として存在している。これを単原子分子という。

3.共有結合

1で説明したように、分子はとなりあう原子同士で価電子を共有しあって結合することによって存在している。このように、となりあう2個の原子が、いくつかの価電子を共有してできる結合を共有結合という。

原子が共有結合で結びつくときは、同周期の希ガス原子の電子配置になるように、相手と原子を出し合って結合する。

一般に、共有結合は、非金属元素の原子同士が結びつくときの結合である。

4.電子式

元素記号のまわりに、原子の価電子(最外殻電子)を記号・で示した化学式を電子式という。価電子の配置は、元素記号の上下左右に時計回りに書いていく。

例えば、フッ素原子Fは7個の価電子をもっているので、その電子式は左下図のように表される。

 

 

 

5.電子対と不対電子

原子の価電子(最外殻電子)が5個以上のとき、電子式において2個の電子が対になる。その対を電子対という。一方、電子が1個のみで存在するものは、不対電子という。

なお、電子対は原子を安定させるが、不対電子の存在は原子を不安定にする。希ガス原子が安定なのは、最外殻電子がすべて電子対になっているためである。

 

6.化学変化と電子式

水素原子2個から水素分子H2ができるときの変化は、電子式を用いると次のように表すことができる。

 

 

また、炭素原子1個と酸素原子2個から二酸化炭素分子CO2ができるときの変化は、電子式を用いると次のように表すことができる。

そして、窒素原子2個から窒素分子N2ができるときの変化は、電子式を用いると次のように表すことができる。

 

これからわかるように、原子が共有結合で結びつくときは、同周期の希ガス原子の電子配置になるように、不対電子を相手の原子と出し合って共有する。

※緑(青)の円にある水素原子は、隣の原子と電子を共有することで合計2個の電子を持ち、同周期の希ガス原子(この場合ヘリウム原子He)の電子配置をとっている。

※緑の円にある水素原子は、両隣にある原子と電子を共有することで合計8個の電子を持ち、同周期の希ガス原子(この場合、ネオン原子Ne)の電子配置をとっている。また、青の円にある酸素原子も同様に、合計8個の電子を持ち、希ガス原子の電子配置をとっている。

7.共有電子対と非共有電子対

水素原子2個と酸素原子1個から水分子H2Oができるときの変化は以下である。

このとき、共有結合によって原子間につくられた電子対を共有電子対という。また、共有結合する前から電子対になっていて、原子が共有結合するときに結合に関与しない電子対を非共有電子対という。

8.単結合、二重結合、三重結合

水素分子H2や水分子H2Oのように、価電子を1個ずつ出し合ってできる結合を単結合という。

 

そして、窒素分子N2のように、価電子を3個ずつ出し合ってできる結合を、三重結合という。

9.構造式

分子を表す際、共有電子対を価標という線(-)で示した化学式を構造式という。

 

10.原子価

構造式において、それぞれの原子から出る価標の数を原子価という。原子価は、その原子がもつ不対電子の数に相当する。

例えば、水素分子H2の構造式はH-Hと表され、水素原子Hの原子価は1価となる。また、二酸化炭素分子CO2は、O=C=Oと表され、酸素原子Oの原子価は2価、炭素原子Cの原子価は4価となる。

元素名

水素

塩素

酸素

硫黄

窒素

炭素

不対電子の数

1個

1個

2個

2個

3個

4個

原子価

1価

1価

2価

2価

3価

4価

11.分子の形

構造式は、分子内の結合を表しているだけで、分子の形まで表しているわけではない。実際の分子は、それぞれ固有の形をしている。

分子式 構造式 分子の形
水素H2 直線
水H2O 折れ線
アンモニアNH3 三角錐
メタンCH4 正四面体
二酸化炭素CO2 直線
窒素N2 直線

 

配位結合

共有結合は通常、2原子間で互いの不対電子を共有してできる結合であるが、一方の原子の非共有電子対を2原子間で共有してできる共有結合もある。

例えば、水分子H2Oに水素イオンH+が結合すると、オキソニウムイオンH3O+ができる。このとき、H+は水分子のO原子と結合してO-H結合をつくる。この結合に使われる電子対は、水分子のO原子の非共有電子対である。

また、アンモニウムイオンNH4+もアンモニア分子のN原子の非共有電子対に水素イオンが共有結合したものである。

このように、一方の原子の非共有電子対を、他の原子と共有することで出来る共有結合を配位結合と言う。

H3O+やNH4+の中に含まれている1つの配位結合は、分子中の他の共有結合とできる仕組みは異なるが、できた結合の性質は他の共有結合とまったく同じで区別することはできない。