可逆反応と化学平衡

①可逆反応と不可逆反応

可逆反応

密閉容器に水素H2とヨウ素I2を入れて加熱すると、両者が反応してヨウ化水素HIが生成する。

H2+I2 → 2HI

逆に、純粋なHIを密閉容器に入れて加熱すると、HIがしだいに分解してH2とI2が生成する。

2HI → H2+I2

このように、どちらの方向にも進む反応を可逆反応といい、化学反応式で表すときは、記号『』を使う。また、反応式の右向きを正反応、左向きを逆反応という。

H2+I2  2HI

不可逆反応

可逆反応に対して、燃焼反応のように、一方向だけが起こる反応を不可逆反応という。

燃焼のような反応熱の大きな反応や、気体が発生したり、水溶液中で沈殿を生成するような反応には、不可逆反応の例が多く見られる。

Zn+H2SO4 → ZnSO4+H2↑ (気体の発生)

BaCl2+H2SO4 → BaSO4↓+2HCl (沈殿生成)

CH4+2O2 → CO2+2H2O (燃焼反応)

ただし、発生した気体を逃がさないように密閉容器中で反応を行ったとすると、気体の圧力が非常に高くなった時点で、逆反応が起こり始め、可逆反応になってしまう。

一般に、反応物と生成物が共存していれば、正反応と逆反応のいずれもが起こりうる可能性があり、すべての化学反応が可逆反応になりうる。

しかし、逆反応が起こりにくいか、または逆反応の反応速度が著しく小さい場合に限って、不可逆反応になるものと考えられる。

化学平衡

化学平衡と反応速度

密閉容器に同じ物質量のH2とI2を入れて加熱すると、H2分子とI2分子との間に衝突が起こり、ヨウ化水素HIが生成する。

H2+I2 → 2HI

しかしこの反応は可逆反応で、生成したHI分子同士が衝突し、H2とI2に分解する逆反応もおきる。

H2+I2  2HI

v1:H2+I2  2HI

v2:H2+I2  2HI

このとき、HIの生成速度をv1、HIの分解速度をv2とすると、

v1=k1[H2][I2]

v2=k2[HI]2

となる。

最初、密閉容器中にはH2とI2しかないので、正反応が進行すると、H2、I2の濃度が減少し、v1は小さくなっていく。

一方、時間がたつとHIの濃度が増加してくるので、v2は大きくなっていく。

やがてHIの生成速度(v1)と分解速度(v2)の差はだんだんと小さくなり、十分に時間がたつとv1=v2となる。

つまり、HIの生成と分解が起こっているにもかかわらず、HIの量は一定となり、見かけ上、変化が認められなくなった状態が実現する。

このような状態を平衡状態という。

化学平衡の法則

平衡定数

硫酸などを触媒にして、酢酸CH3COOHとエタノールC2H5OHを反応させると、酢酸エチルCH3COOC2H5と水H2Oが生成する。この反応は可逆反応で、反応が完全に終了する前に平衡状態になる。

CH3COOH + C2H5OH  CH3COOC2H + H2O

この反応が平衡状態に達したとき、それぞれの物質のモル濃度を[CH3COOH]、[C2H5OH]、[CH3COOC2H5]、[H2O]で表すと、一定温度で、次の関係が成り立つ。

[CH3COOC2H5][H2O]/ [CH3COOH][C2H5OH]=K

このときKは平衡定数とよばれ、温度が決まると一定の値をとる。また、温度が一定ならば、反応開始時の物質の濃度に関係なく、平衡状態ではKの値はつねに一定になる。