銀・水銀の水酸化物がAg2O・HgOとなる理由

疑問

金属の水酸化物には、水酸化銅(Ⅱ)Cu(OH)2、水酸化亜鉛Zn(OH)2、水酸化アルミニウムAl(OH)3、水酸化鉄(Ⅲ)Fe(OH)3などがあるが、銀と水銀には水酸化物はない。なお、正確に言うならば、水酸化物になった後すぐ脱水し、酸化物になってしまう。

2AgOH → Ag2O + H2O

これはなぜか?

 

理由

それは、Ag+とHg2+はイオン化傾向が小さく、陽性が小さい(逆に言うならば、他の金属に比べて電気陰性度が大きい)からである。

そのためAgOHでは、Ag-OH間の電気陰性度の差が小さくなり、変わりにO-H間の極性が大きくなる。

そのため下図のように水素結合を形成した後、分子間でプロトン(H+)が移動し、直ちに脱水が起こる。このようにして酸化物が生成する。

一般に、プロトン(H+)は小さく、その移動に伴う活性化エネルギーは小さいので、プロトンの移動は常温でも十分に起こりうる可能性がある。

なお、陽性の大きな金属の水酸化物、例えばNaOHでは、Na-OH間の電気陰性度の差がO-H間よりもずっと大きく、NaからOへと電子が与えられ、Na+とOHとして電離するので上記のような水素結合の形成に伴う脱水反応はおこらない。